KEGGについて
KEGGの公式サイトによると、KEGGデータベースプロジェクトは、ゲノム配列から細胞や生物といった生命システムを理解するための参照資源が必要になると見込み、1995年に日本のヒトゲノム計画の一環として始まりました。日本語版ウィキペディアは、京都大学化学研究所の金久實氏らによるプロジェクトとして発足したと説明しています。特に力を入れてきたのが、文献から知識を集めて手作業で描く「KEGGパスウェイマップ」で、分子の相互作用や反応の配線図として細胞や生物の機能を表しています。2025年11月には京都で30周年記念シンポジウムが開かれました。
公式サイトの説明では、KEGGは細胞や生物、生態系などの生命システムを計算機上でモデル化したデータベースで、ゲノムやメタゲノムなどの分子レベルのデータから、より高次の機能を読み解くことを目指しています。データは13のデータベースに格納された23種類のデータオブジェクトとして実装され、パスウェイマップを収めたKEGG PATHWAY、階層分類のKEGG BRITE、機能単位のKEGG MODULEなどに分かれています。パスウェイマップは代謝、遺伝情報処理、環境情報処理、細胞プロセス、生体システム、ヒト疾患、医薬品開発に分類されます。
データの多くは公開された論文を一次情報としてKEGG内部で作成されていますが、遺伝子はNCBIのRefSeqとGenBank、ゲノムと分類はNCBI Genome and Taxonomy、酵素はExplorEnzから取り込んでいます。1995年には、酵素番号を手がかりにゲノムを代謝経路に対応づける「マッピング」の考え方を導入し、生物種ごとの経路を自動で生成できるようにしました。基礎研究に加えて、日本と米国で販売されているすべての医薬品の添付文書情報をKEGG独自の医薬品データと統合するなど、健康科学への応用も進めています。プログラムからはREST形式のKEGG APIで利用できます。
利用条件について、公式サイトの著作権表示は、KEGGはKanehisa Laboratoriesが著作権を持つオリジナルのデータベース製品であり、公共のデータベースでも公的資金で運営されるデータベースでもないとしています。学術利用者はウェブサイトとGenomeNetのミラーサイトを自由に使えますが、KEGGを使ってサービスを提供する場合は学術サービスプロバイダーライセンスが必要です。学術以外の利用には商用ライセンスが必要で、ライセンス業務は株式会社パスウェイソリューションズ(東京都文京区)が担っています。同社は2000年11月に有限会社として設立され、2026年3月に株式会社へ組織変更しました。KEGGのFTPサイトとミラーサイトも運営しています。
パスウェイソリューションズのサイトによると、KEGGは長く国の研究費で拡充されてきましたが、2011年以降は国からの支援が減り続け、現在は開発費全体の5%未満にとどまっています。ライセンス事業の収益はすべてKEGGの開発費に充てられ、それによって学術利用者への無料公開が維持されていると説明しています。日本語版ウィキペディアによると、2011年7月にはFTPによるデータファイルのダウンロードに購読モデルが導入されました。研究成果でKEGGを使った場合は、指定された論文を引用するよう求められています。
KEGGを評価するときは、利用したデータベースや機能、パスウェイマップの見やすさ、検索やマッピングの使い勝手、APIの安定性、データ更新の頻度、ライセンス手続きの分かりやすさなどの情報が参考になります。